「ではこうして少し足を広げてしっかりと立っていてください」と前衣紋者のおばさんに両足の位置を固定されたゆきぴゅーは、言われた通りに突っ立っているだけでいいんですの。
「あ、あのぅ、、、。わたくし、かなりの仁王立ちなんですがこの姿勢でいいんですの?」
「はい、けっこうです」
まず最初にキレイな山吹色の打衣(うちぎぬ)を羽織り、その後は白、うす紫、紫・・・と何枚も衣を重ねていきます。
「十二単っていうくらいですから12枚羽織るんですの?」
と100人中97人くらいがするであろう質問を投げかけると、前衣紋者のおばさんは一言、
「おおよそ。」とだけ言って黙々と作業に没頭していらっしゃいます。どうやら十二単は皇族や貴族階級の女性の正装なので、着せられる人と衣紋者さんはぺちゃくちゃとおしゃべりをしながら着付けをするものではないようですの。体験イベントとはいえ、その点はしっかりと教育されているらしく、着付け担当のおばちゃんたちは真剣。よって、御方のゆきぴゅーも真剣に立っていなくてはいけません。でもやっぱり聞きたいことはいっぱいあって、「今、半分くらいですの?」「いえ、まだ半分もいっていません」。ひょえ~!!!お、重いんですけどーーーー!!!
どんどん自分の体が着ぶくれしていっているのだけはわかりますの。やってもらっていて気づいたのですが、おばちゃんの手つきからして、襟の重ねが均等になるように押さえてそこを紐でしばり、次にまた新しい衣を重ねて、前の紐をほどいてまたしばるの繰り返しっぽいんですの。つまり、使う紐は一本だけ!いよいよ派手な柄が入った衣が登場し始め、そのくらいになると両肩にずっしりと漬物石みたいな重みがのしかかっていて、“こりゃ仁王立ちじゃないと無理ですわ”と納得しましたわ。ちらっと前衣紋者さんを見下げると(>失礼)額に汗びっしょりかきながらやってくださっていました。
25分ほどかかってようやく完成ですの。手に大きな扇子みたいなものを持たされて立ちポーズの記念撮影。そしてお次は座りポーズ。ガクガクの足を折ってやっとこ座ると、こんどは開いた扇子を持たされてハイ、ポーズ。まるでお雛様みたいですの。
十二単って、座るのも立つのも人の手を借りないとダメなんですの。恐ろしいお召しものですわー!平安貴族のお姫さまはこんな格好でよく和歌なんぞ優雅に詠んでいられたものですわー!トータル15~20kgあるという装束にもう限界ですわー!、と思い始めた頃、「ではそろそろ脱ぎましょうか」と言われて正直ホッとしました。そして一番びっくりしたのは最後の最後でした。紐を一本も使っていないから、着るのはあんなに時間がかかったのに脱ぐのはえいやっと10秒ほどしかかからないんですの。無重力状態になったかと思うくらい身軽になったゆきぴゅーは、再び最初の白小袖&長袴姿になって、へんてこりんな歩き方で表舞台から退場。裏の着替え室で着てきた服装に着替えると、「現代、バンザーイ!洋服、バンザーイ!」と心から思った十二単の着装体験だったのでした。
コメント
コメント一覧 (6件)
お疲れさまでした~。一番上が白くて若々しくていいですねぇ。
ワタシもトライしてみたい!
平安のお姫様もきっと、誰もいないときは小袖と袴であぐらかいてましたよ、きっと。
素敵な十二単だね〜。
私も読んでとても勉強になりました。
冥土の土産だね(笑)。
そうそう、お友達が本を買ってくれましたわよ。
meさんへ
>一番上が白くて若々しくていいですねぇ。
「十二単 着付け 体験」で検索してみると、京都とかでできるみたいですが、
料金が写真込みで2、3万円かかるみたいですわね。
ちなみに今回のゆきぴゅーの参加費は500円でしたの。
とってもいい記念になりましたわ。
マッサーへ
重ねの感じがすてきでしょ~!
でも自力じゃ動けないんですのよ。
本を買ってくださったお友達によろしくお伝えくださいませね。
紫と白の重ねがとても高貴な感じですね。ステキです♪
いいなぁ。私もやってみたいです。
平成2年の即位の礼で皇族方が皆さま十二単でおひとりで歩いていたような・・・(記憶違いかしら)
涼しいお顔で皆さま凄い体力の持ち主だったりして。
ゆっきーさんへ
>平成2年の即位の礼で皇族方が皆さま十二単でおひとりで歩いていたような・・・
ゆきぴゅーは立ち上がるだけでヨタヨタしちゃいましたが、
紀子さまも雅子さまも結婚の儀で十二単を着られてますわよね。
しかも頭にはカツラも付けて!
すっごい体力いると思いますわ~
皇室の方々は大変ですわね。